2013年9月3日火曜日

長い夏が終わりました


処暑の空を見上げれば、高いところに秋の雲。
ここのところ、お伺いしたお客様のお宅で梨をいただくことが多いのですが、今年の梨はとってもおいしいですね!!白くみずみずしい、甘い梨を頬張って、豊かな気持ちになれるのも、今年の夏がことのほか暑かったせいかもしれませんね。

8月後半には、和波たかよし先生、土屋美寧子先生の「和波たかよし八ヶ岳サマーコース&コンサート」の調律をさせていただきました。毎年夏に八ヶ岳で両先生が開催されている、ヴァイオリンと室内楽の合宿とコンサートです。
今年で27回目とのこと、後進を育て良質の音楽を世に広めるという、先生方のまっすぐな歩みに、多くの人たちが賛同し続いてきたその歴史は、本当に重く意義深いことです。世界中探しても、なかなかないのではないか?!と思います。

そして8月最後の日曜日に、弊社ではプレイエル モデルFを納品させていただきました。プレイエル社が世界大恐慌の影響によって破綻してしまう前の良き時代、1931年製の1台です。
お買い上げくださったのは東京都町田市のN様。弊社ホームページをご覧になって来店してくださり、その時入荷したばかりでまだホームページにも載せていなかったこのピアノを見初められたのでした。

「ショパンが愛したピアノ」として有名なプレイエル。やわらかで透明な響きに魅力を感じるのはもちろんですが、何よりもp(ピアノ=弱音)の音色がタッチによってとても繊細に変化するのに、はっとさせられます。
現代ピアノは輝きのある音で音量も大きく、高度な演奏テクニックを駆使できる優秀なアクションを搭載しています。ショパンの音楽も黄金のように圧倒的な存在感を放ちます。ひとしきり弾く(聴く)と満腹!という感じになるほどに。ところがこのピアノで力むことなくショパンを弾くと、思いのほか軽やかに弾きこなすことができるのです。とても親密な、今まで知らなかったショパンの顔が見えてくるようです。

フランスから来たこのプレイエルと、音楽を愛し、ピアノを愛するN様ご夫婦との新たな出会いは、きっと幸せなものになる。私共もささやかな喜びを抱くことができた一日でした。